247 名前: 風と木の名無しさん 04/03/22 02:11 ID:X/6Vxa33

「サムソンがある」はイコール「サムソンしかない」ってことなんだよね…。
LGとかあるけど、韓国内では大きくても、世界では知名度は皆無に等しい。
映画も「日本に比べて」元気がある…ように見えるってだけで、
規模でアメに勝てるわけもなく、フランスの様にウザイ蘊蓄があるでなく
インドのように独自路線があるでなく、香港の様に知名度があるでなく…。
あの「日本に勝てればなんでもいい」ってのをどうにかして欲しい。

<まだ冷たい春の雨に打たれつつ>
「……ウリは……お前に勝ちたいニダ…!」
ニホンはしゃがんだまま雨に濡れるカンコの頬にそっとふれた。
振り払おうとした手をつかんで、ニホンはいつになく乱暴にカンコのあごをつかんだ。
強引に上向かせる。
「いい加減に目を覚ましなよ。僕は君の為に存在してる訳じゃない。
僕しか捕らえない瞳は、世界を見るためにあるんじゃないの?」
「…うるさい!…お前にウリの気持ちなんかっ…!」
「君にだって、僕の気持ちはわからない。僕たちは違う人間だ。兄弟でもない」
ニホンはへたり込んだカンコに手を差しのべようとした手を握りしめた。
「“自称先進国”だろう?僕の手は必要ないね」
「…ウリはお前を赦さない!」
ニホンはハンカチを差し出した。真っ白い絹でカンコを頬を拭うとそのまま
カンコの手に押しつけた。
「このハンカチは君にあげるんじゃないよ。貸すんだ。
いつか返しにおいで。……じゃあね」
うつむいたカンコが何事かつぶやいたが、ニホンは振り返らずそのまま雨の中を
歩いていった。

251 名前: 風と木の名無しさん 04/03/22 11:03 ID:QIttz76C

「そりゃ、昔は君くらいしか知らなかったからね。」

そう、この片田舎で、俺はこいつを独り占めしていたんだ。
喜んだ顔も、相談を持ち掛ける困り顔も、時たま殴り掛かって
来た時の凛々しい姿さえも、みんな、俺だけの物だった。

「だから、無邪気に付き合っていたよ。でもね、今は違う。
世の中には、もっと素敵な人たちが、たくさんいるんだって
知ったから。」

こいつは、少しずつ俺の手から離れていったんだ。
いろいろな奴らが、こいつに言い寄ってきた。
そして、あの男が現れた。


252 名前: 風と木の名無しさん 04/03/22 11:04 ID:QIttz76C

「この人の背中を追いかけて行きたい。そんな人に出会ったんだ。
勝てると思ったのに、負かされて、追いついたと思えば引き
離されて、だから、必死に追いかけてしまう、そんな人が。」

ああ、それは俺だったはずなのに。今、こいつが追いかける、
あの男。強くて、何でも出来て、何でも持っていて、誰もが
かなわなくて、俺が、逆らうことの許されない、あの男。

「なのに何故、いつまでも特別扱いしないといけないの?」
それ以上言うな。
「嫌いになった訳じゃないよ。でも、君はボクにとって、大勢の
中の1人以上には考えられないもの。君みたいな・・・」
黙れ。
「冴えない幼馴染は、ね。」



253 名前: 風と木の名無しさん 04/03/22 11:04 ID:QIttz76C

すべては、夢。

「ボクも、いろんな人たちとお友達になったよ。」
邪気のかけらもない笑顔を向けてくる。あの遠い日々、その
ままに。
「でもね、やっぱり・・・、」
俺の胸にしがみ付く、華奢で、小さな身体。俺を何度となく
酔わせた、あどけない上目遣い。
「君より素敵な人なんていないよね。賢くて、何でもできて、
いつもボクの隣に居てくれる、ボクの・・・」
どこまでも、俺に都合のいい、その姿。
「ずっと、一緒にいようね。」


濡れた下腹部が、ひどく不快だった。


254 名前: 風と木の名無しさん 04/03/22 11:06 ID:QIttz76C

夜も明けやらぬ頃。風呂からあがった俺に、鏡の中からヤツが
話し掛けてくる。

いつの頃からか俺の心に居付いた、もう1人の俺。

『俺の物になれよ。俺にすべてを託すんだ。』
うるさい。
『あいつが、欲しいんだろ?』
そんなことは、あの男が許さない。
『そうだろうな。だから、一緒になるんだよ。倒してやろうぜ、
アメリカを。』
できるものか。
『できるさ。俺とお前が一つになれば、敵無しさ。そうだろ。
そして、あいつを取り戻すんだよ。そう、俺達の物にするんだよ、
日本を!』


255 名前: 風と木の名無しさん 04/03/22 11:07 ID:QIttz76C

こいつの誘惑は、いつものことだ。断ち切れる。だから、鏡から
目を逸らした。そう、今は。
朝日が昇る。あの太陽の下に、日本がいる。

『俺達の物にするんだよ、日本を!』
日本を、俺達の物に、か。
それが、もう1人の俺、ヤツだけの望みだったら、どんなにか
楽だろう!!
俺達はいつか一つになる。俺があいつを取り込むか、俺が消えて
しまうのか。

「日本(イルボン)。俺も、あいつも。」
どうなっても、きっと、お前から離れない。