113 名前: 1/5 04/09/24 10:13:56 ID:naOYGmK7

 外はひどい雨だ。深い闇に包まれているということもあるが、外の景色が全く見えない。
 窓に打ちつける雨がガラスを伝い落ちるのを眺めながら、米は、国/連の顔を思い出していた。
----イ/ラ/クにあるはずの「危険なオモチャ」を探すのを俺はあきらめた。
 俺がそう皆に言ったとたんに、奴は俺を皆の前で非難し始めたのだ。
「シット!」
 米は小さく吐き捨てた。お前が同意したからやったんだろうが。
 国/連もだが、知らんふりしているイスラエノレにも腹が立つ。
 さらに米は、自分の中で、ずっと以前から、二つの考えが常にぶつかり合って、
自分に答えを求めてくる状態を持て余していた。たまにそれらの勢いに圧倒されて、
自分がどうしたらいいか分からなくなってくる。
国/連よりもなによりも、そんな自分自身に米は苛立っていた。
 米は窓から離れ、スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを乱暴に外しながら、ソファに戻る。
 向かいのソファには、ニホンがセーターとジーンズ姿で、膝を抱えて座っていた。
 米はジャケットとネクタイを側に置いてある椅子の背もたれに放り投げながら言った。
「カンコが隠れて実験をやったせいで、6ヶ国協言義がメチャメチャだ。
奴のおかげで、北/朝/鮮だけじゃなく、イラソも増長してきやがった。
せっかく甘い顔をしてやっていたのに、I/A/E/Aの報告次第では、一発殴っておかないと
周りにしめしがつかなくなるかもしれないな。バカな奴だ。リ/ビ/アを見習えばいいのに」
 ニホンは膝を抱えたまま黙っている。
 米はウィスキーの入ったグラスをあおって言った。
「カンコよりも北/朝/鮮だ。あの野郎、またミサイル発射準備なんかしてるな。
…ぶっ潰そうか?」
 ニホンは面食らったように顔を上げた。だが、すぐにまた膝小僧にあごを乗せて答える。
「いや、やめてよ。っていうか、あなたが本当にそんなことするわけないじゃん」
「なんでそう思うんだ?俺は、カンコの家の、北/朝/鮮との境界線近くにある
自分の軍を下げるつもりでいるんだぞ。それは、俺が奴を空爆する際に、
自分の軍に被害が及ばないようにするためかもしれないじゃないか?」


114 名前: 2/5 04/09/24 10:14:13 ID:naOYGmK7

 ニホンの反応が意外によくないので、米はさらに聞いた。
「お前、奴にはさんざん迷惑かけられてるんだろ。ちょっとは嬉しがれよ」
 ニホンは目だけを上げ、すぐに落として言う。
「…僕は確かに彼には困ってるけど、あなたが彼を攻撃することが、
僕の悩みを解決する最善の手段だとは思わないよ。っていうか逆にもっと困るから、やめてよ。
そもそも、北/朝/鮮が本当に僕の家にミサイルを撃つわけないじゃん。
それは日/朝/平/壌宣言の違反だし(もうしてるか)、
経済制裁を解除したあなたの顔もつぶすことになるし。
彼だって、その後周りからどんな扱いを受けるかは分かってると思うよ」
 米は肩をすくめた。
 ニホンは続ける。
「あなたにとっても、現状維持が一番いいはずだろ。
北/朝/鮮が『俺のミサイルは米の家まで飛ぶ』とか言ってるおかげで、
あなたは、それに対抗するって名目で『オモチャ』をたくさん作れるんだし、
カンコの家に自分の軍を置いておく口実にもなるんだし(あ、引くんだっけ)。
それで、ますますユーラシア大陸の東側を制する足がかりを強固にできるんだし」
 雨音が部屋に小さく響く。
「…お前の言うことはいちいちごもっともだな」
 米はおもしろくなさそうに、背もたれに体を預け、頭の後ろで手を組んで天井を見上げた。
「奴がイ/ラ/ク並の脅威を持つようになればな。
そうしたら俺が国/連のお墨付きをもらってぶっ潰せるのに」
 ニホンが顔を上げて言った。
「…何むちゃくちゃなこと言ってんだよ?人の話聞いてないだろ。やめてって言ってるじゃん」
 米は続けた。
「奴が飲めないような条件を突き付けてキレさせて、先に手を出させる方が手っ取り早いか?」
 ニホンは怒りを抑えながら静かに言った。
「…あなたはそんなにケンカがしたいのか。なんだか、今日のあなたはイライラしてるね。
イ/ラ/クに『オモチャ』がなかったから、確実に『オモチャ』を持ってる北/朝/鮮を攻めて、
名誉挽回したいの?」
 米は両手の平を上に向けた。
「そんな事ないけどな」
 いや、図星だ。そして、図星を指されると腹が立つ。


115 名前: 3/5 04/09/24 10:14:32 ID:naOYGmK7

 米は膝を叩いて立ち上がりながら言った。
「オーケイ、この話は止めだ。それよりも6ヶ国協言義だ。
なんとしても北/朝/鮮を引きずり出して、協言義のテーブルにつかせなきゃな。
まあこれからも俺のために、いじめられても我慢して、
うまく現状維持の状態を保てるように調節しながら、
北/朝/鮮にお金と食べ物をやり続けてくれよ、ニホン」
 米はキッチンへ向かおうとした。
 すると、シャツの腰の部分をグイッと引っ張られた。
 米が振り向くと、ニホンが涙目で睨みながら立っていた。
「…今、何て言ったの」
 米は向き直った。
「何って…何かまずいこと言ったか?」
 米はわざと聞き返す。
「あなたは、僕が、彼らから家の物を盗まれたり、身の危険を感じたりしてるのを知ってて、
さっきみたいなことを言うのか!!」
 ニホンが怒鳴る。
「俺にとって、北/朝/鮮は現状維持が一番って、お前さっき言ったじゃないか。
だからお前はそうしてくれてるんだろ。それに、奴がお前をいじめるおかげで、
お前は俺をますます頼ってくるんだから、確かにこの状態は、俺にとって一番いいよ」
 米は笑って言う。
 ニホンは思わずこぶしを振り上げた。
 だが、その細い手首は米の大きな手に難なく捕まえられる。
「離せ!バカ!」
 米は暴れるニホンを素早く抱き寄せ、口づけた。
「嫌だ!!今日はしたくない。今日の米は意地悪だから嫌いだ!」
 腕の中で抵抗するニホンの後頭部の髪をつかんで仰向けさせ、米は言った。
「『今日はしたくない』だと?お前がそれを決めるのか?
いつのまにか、ずいぶんと偉くなったもんだな」
 米はニホンを突き飛ばすようにしてソファに押し倒した。


116 名前: 3/5 04/09/24 10:14:51 ID:naOYGmK7

 ニホンの上に乗りかかるが、ニホンはなおも抵抗する。 
 米はニホンの手首を拘束したまま言った。
「おい、ニホン。俺にお説教もいいが、よく考えろよ。
お前の家の防衛費が他の奴らよりも安上がりなのは誰のおかげだ?
お前が誰からもレイプされずにすんでるのは誰のおかげだ?
お前の代わりにアジアを安定させているのは誰だ?
お前は俺の協力がなければ、どんな奴も、攻撃することさえできないんだぜ。
お前は俺を拒否することなんかできないはずだ」
「……」
 ニホンは涙に濡れた目を伏せ、大きく深呼吸をした。
それにつれて、ニホンの体の力が抜ける。
「いい子だな」
 米は笑った。米の手が、ニホンのセーターの中にすべりこんでいく。
 雨はまだ止まない。

「…氷が溶けちまった」
 米はソファに腰掛け、グラスを振った。
 ニホンは同じソファにぼんやりと横たわり、天井を見上げたまま、
足元に座っている米に言った。
「…国/連君が、イ/ラ/ク君のことで、君に文句言ってたね」
 米は振り向く。
「でもさ…僕は、君の行動は正当だったと思うよ」
 米はちょっと驚いた。
皆が冷ややかな反応をする中で、そんなことを言ってくれる奴がいるとは思わなかったからだ。
 米は自嘲気味に笑いながら言う。
「お前、そこまで俺に追従しなくてもいいんじゃないか。
常イ壬理事国になりたいんだろ。国/連の言うことはハイそうですねって聞いとけよ。
まあ、お前の家の事情から言って、開き直ることはできないからかもしれないが…」
「…そんなんじゃないよ」


117 名前: 5/5 04/09/24 10:15:28 ID:naOYGmK7

 ニホンは続ける。
「あのさ…僕は、いじめられてるから君にすがってるわけじゃないよ。
そんなものなくたって、僕は…」
 米はグラスを置いて、ニホンの頭に腕を伸ばし、髪の毛をグシャグシャにした。
「分かってるよ」
 米は笑って続けた。
「大事なパートナーだからな。お互いに」
 ニホンは体を起こして言う。
「機嫌直ったね」
「セックスすると機嫌が直る」
 ニホンは声を上げて笑った。
 米はニホンを抱き寄せて言った。
「とりあえず、俺のイーヅス艦を今年中にニホンシ毎に置いて奴らを監視させてやるよ。
俺のニホンに手を出したらどうなるか、奴に改めて知らせてやろう。
ついでに、日米安イ呆がアジアや太平シ羊全体の平和のためにもなっていることを、
周りの住人達にも分かってもらう」
「…うん」
 ニホンは米の腕の中で小さくうなずいた。
「ひどい雨だな…」
 米がつぶやく。
 部屋に小さく響く雨音と、米の心臓の鼓動を聞きながら、ニホンは目を閉じた。

**********

多分トンデモな事書いてるかもしれないッス○| ̄|_ 
眉に唾つけて読んで下さい…スイマセンスイマセンorz