191 名前: 1/6 04/09/29 13:43:56 ID:7as/GLuD
(´Д` ≡ ´Д`)すごく優良レスを交し合ってる所に、ss投下スマソ…。orz 1910年 ニホンがカンコを併合した頃のお話です。 (´-`).。oO(「国際情勢」というか「歴史」になるのか…?) *********** 満/州のところに仮住まいをしているニホンの元に、米が訪ねて来た。 ニホンは椅子をすすめ、コーヒーを出す。 米は椅子に座り、葉巻に火をつけ、足を組んで言った。 「お前の物になってる、カンコと満/州だがな。カンコが、お前の物であることには何も文句は無い。 だが、満/州の方にある鉄道で俺も遊びたいんだ」 米は身を乗り出してさらに言う。 「あの鉄道とあのかわいい子を、お前が一人占めするなんて、不公平だと思わないか?」 ニホンはコーヒーを一口飲み、微笑んで言った。 「あなたお得意の『Open Door』ってやつか。 シ青を食い物にしている欧/州の人達に対しては通用しただろうが、今度はそうはいかないよ。 満/州は渡さない。彼は私の命に等しい大事な人だからな」 米は肩をすくめて、両手の平を上に向けた。 「お前って奴は、断る時も笑うんだな。不思議な奴だ」 「あなたにとっては、満/州は、大勢いる愛人のうちの一人程度の価値しかないのだろうが、 私にとってはかけがえのない人なんだ。 そのあたりを察して、私達のことは放っておいてくれないか?」 米は立ち上がり、テーブルを周ってニホンの背後に立った。 そしてゆっくりと両手をニホンの両肩に置き、腰をかがめ、ニホンの耳元にささやく。 「ポーシマスでは楽しかったな。お前はもしかして、自分が満/州を手に入れることができたのは、 自分一人だけの力だなんて思ってるんじゃないだろうな?」 ニホンは顔を米に向けた。 そして、キスをしようとしてきた米の胸を押しとどめて言った。 「確かに、あなたには感謝している。あなたの口添えもあったから、私は露から満/州を譲ってもらえた」 「じゃあそのお礼に、少しばかり満/州と遊ばせてくれてもいいじゃないか?」 「だがそのことで恩を着せられたとは思わないよ。 あなたは、とにかく露から満/州を取り上げたかっただけで、別に私のためにやってくれたわけじゃない。 残念だが、何度言っても同じだよ、米。満/州は渡さない」 192 名前: 2/6 04/09/29 13:44:11 ID:7as/GLuD 米は上半身を起こし、すぐ後の壁にもたれて腕を組んだ。 「やれやれ…ちょっと前まで俺の前で足を開くのさえも恥ずかしがって嫌がってた子が、 俺にそんな口を聞くようになるとはな。 しかも、昨日までキモノを着て床に座ってお茶を飲んでいたのに、 いつのまにか完璧に俺達のモノマネを始めやがって」 ニホンは笑いながら言う。 「私が生きていくためにはあなた方白人社会に受け入れられなくてはいけない。 モノマネも命がけでやるさ」 「そのスーツの着こなしも、コーヒーの淹れ方も、英に教えてもらったのか」 ニホンはちょっと黙ったが、米のほうを振り向かないまま言った。 「そんなことまで答えなくてもいいだろう」 「あいつをどうやってたらしこんだ?『栄光ある孤立』を誇りにしていたあいつを」 「別に何も。ただ常に国際法の模範生たるべし、と心掛けただけだよ」 米は大股で自分の椅子に戻り、葉巻を無造作にジャケットのポケットに入れながら言った。 「今日は帰るよ。俺はまだこの辺りでは新参者だ。他の奴らの目も怖い。 それに、キューノヽ"やグ/ア/ム、フ/ィ/リ/ピ/ンをかまってやるのに忙しいからな。 だが俺は、鉄道・海路による世界一周ラインを作るっていう夢はあきらめないぜ。 そのためには、ぜひとも満/州が必要なんだ。 せいぜい英との束の間の蜜月を楽しんでおけよ。 いつか俺が必ずお前らの仲を引き裂いてやる。お前はいずれ俺の物だ」 米は手を軽く上げて、手の平をひらひらさせながら出て行った。 その頃、満/州は鉄道に沿って歩いていた。ニホンの元へ行くためだ。 背後から不意に声がかかった。 「満/州じゃないか。なつかしいな」 満/州が振り向くと、そこに露が立っていた。 満/州の足がすくむ。 露は、満/州にゆっくり近づきながら、薄笑いを浮かべた。 「美しくなったな。見事なものだ。お前がこれほどに変われるとは知らなかった。 ニホンは、よほど君を大切にしていると見える」 193 名前: 3/6 04/09/29 13:44:30 ID:7as/GLuD 「な、なぜあなたがここに…?もう僕は、あなたのものじゃないんです。 あなたがここにいることを知ったら、皆、条約を破ったと怒りますよ」 満/州は震えながら、やっとのことで言った。 「条約なんか糞くらえだ。特に、この私が寛大な心を見せて、 あの小さいニホンに譲歩してやった条約など、私にとってはなんの拘束力もない」 露は満/州の腕をつかんだ。 満/州は恐怖で小さく叫ぶ。 「…は、離して下さい!」 「かつての男にそのセリフはないだろう。私との思い出を忘れてしまったのか? お前のところの鉄道を作ってやったのは誰だったっけ?」 露は満/州の細い腕をつかみ、人気の無い場所へ歩いた。 満/州は壁に押し付けられながら、露に哀願した。 「お…、お願いです。離して下さい。こんなの、ニホンが許さないです」 「あいつのどこが、そんなにいいんだ?理解できないな」 そこへ、こちらへ歩いてくる足音が聞こえた。 足音がどんどん近づいてくる。一人ではないようだ。 露は舌打ちをした。 「・・・俺がここにいることを誰かに見られるとまずいな。 忘れるな、満/州。いずれお前を取り返してやるぞ。お前の次はニホンだ」 露は足早に立ち去った。 満/州はその場に座りこみそうになる。 しかしやってきた人物の顔を見て、満/州は飛びあがった。 「…おや、これはこれは…」 シ青がニヤニヤと笑いながら満/州を見下ろしている。 満/州は恐怖を抑えながら言った。 「ここを『化外の地』と言って蔑んでたあなたが、なぜここにいるんですか? ここは僕達の家です。皇帝の故郷です!漢/民/族のあなたは勝手に入って来ないで!」 満/州はそこまで言って、シ青の影に隠れるように立っている人物に気がつき、目を見張った。 194 名前: 4/6 04/09/29 13:45:27 ID:7as/GLuD カンコだったのだ。 彼は自分と同じく、露からニホンへと保護権が渡っているはずの人物だった。 カンコはさすがにばつが悪そうにうつむいている。 満/州は思わず尋ねた。 「ど…どうして?なぜ君は、シ青と一緒にいるの・・・?」 シ青はカンコの肩を抱いて言った。 「お前は知らなかったのか。こいつはとんでもない淫売なのだよ。 露にすりよっていたと思ったら、今度は朕なのだからな」 「インバイって何?」 カンコは無邪気に聞き返す。満/州はカンコに叫んだ。 「せっかくニホンが君を独り立ちさせようとして、シ青や露とケンカまでしてくれたのに! 君自身にその気がなかったら、意味がないじゃないか!」 カンコは言った。 「えー、なんかそんなのよく分からない。めんどくさいよ。 その時その時で、一番強い人の囲われ者になるのが一番いいんだ。 だって、自分は何もせずに食べ物をもらえるし、負けた奴には威張れるもん。 ニホンも強いかな〜って思ったんだけどさ、遼/東君を、露と独・仏の圧力に負けて シ青様に返しちゃったじゃない?あれ見て、あ〜やっぱりニホンはダメだって思ったの」 シ青は豪快に笑った。 「ワハハ、そうだ、お前のその生き方が一番だぞ。 世界で一番強いのはこの朕だと分かっているお前はなんて賢いんだ」 カンコの頭をなでているシ青を見ながら、満/州は思った。 (シ青の家は、欧州どもに食い荒らされて今にも崩壊寸前なことを、 カンコは知らないのだろうか…) シ青は満/州の思惑など気がつかずにしゃべり続ける。 「ニホンは、世界の頂点の皇帝であるこの朕ではなく、 独自に天/皇などを打ち立てて拝しておる、逆賊だ。 あまつさえ朕とカンコを引き離そうと、私に刃を向けおった。 そして必死で白人どもの猿真似をしおる。なんて滑稽なんだ」 「そうですよね〜〜、シ青様!ウリは、あいつの意のままになりたくなくて、 1年前にあいつを刺してやりましたよ。誉めて下さい、シ青様!」 そう誇らしげに言うカンコの瞳に狂気の光を見たような気がして、満/州は背筋が寒くなった。 195 名前: 5/6 04/09/29 13:47:28 ID:7as/GLuD 満/州はふとあることに気づいてカンコに近寄り、聞いた。 「ねえ、カンコ。その服…」 カンコは得意げに上着の裾をつまむ。 「これ?パジ・チョゴリって言って欲しいな。きれいでしょう。絹でできてるんだよ。 今日はシ青様とデートだから、ウリが持ってる服の中で、一番きれい服を着てきたんだ」 「…それ、ニホンが君に買ってあげた物じゃない?」 満/州がそう言った途端、カンコはシ青の顔をさっと見た後、突然悲鳴を上げて地面に倒れた。 「シ青様の前で、な、なんて屈辱的なことを…!ひどすぎる!アイゴオオオ!! ウリは激しく気持ちを傷つけられたニダ!謝罪と(ry」 「ご、ごめん!僕の勘違いだったんだね。これ、君が買ったんだね。ごめんよ!謝るよ!」 満州はカンコにすがり、謝る。 カンコはことさらに泣き顔を二人に見せつけるかのように空を仰ぎながら、地面を叩く。 「シ青様…、ウリはニホンから買ってもらった服を着てはいますが、ウリの心はあなたの物です! 信じてください!!その証拠に、こんなにニホンの買ってくれた服を着ていることを屈辱だと 嘆いているではありませんか!!」 (なんだよ!やっぱりニホンが買ってくれたんじゃないかよ!ていうか、屈辱だって言うなら脱げよ!) と、満/州は、一人激しく心の中で突っ込んだ。 その二人の上からシ青の声がした。 「まあまあ。いいじゃないか、起きなさい、カンコ」 カンコはそれで満足したようにケロッとして起き上がり、埃をはたいた。 そのカンコの前を横切り、シ青が突然満州の手首を掴んで引き寄せた。 「な、何を…!」 「お前を『化外』と蔑んだことは謝ろう。まさかお前がこんなに美しく、価値がある男だとは知らなかったのだ。 どうだ、朕のところへ来ないか。お前のところの鉄道が欲しい。 朕と一緒に、ニホンに対抗して、平行に別の鉄道を作る計画があるのだ」 満/州はびっくりした。 「そ…それは、日/シ青条約違反じゃないの?」 「条約など知るか。とにかく朕はニホンに出し抜かれることだけは許せんのだ」 196 名前: 6/6 04/09/29 13:49:39 ID:7as/GLuD (どうして、ニホンの周りに住んでる奴らは皆、条約を平気で破るような、 常識の無い奴らばっかりなんだ…!) 満/州は怒りにまかせて、シ青の腕の中で激しくもがいた。 「シ青様!!ウリを忘れないでーっ!!あなたのことを一番好きなのはウリだけなのですよ!」 カンコが突然シ青の腕にしがみつく。その拍子に、満/州はシ青の腕から逃れられた。 満/州は後も振り返らずに駆け出した。 走り続けるうちに、先程の、露とシ青の腕が自分を捕らえた恐怖がよみがえる。 とにかく、一刻も早くニホンに会いたかった。 満/州はニホンの家に辿り着き、扉を叩いた。 ゆっくり開いたドアの向こうに、ニホンが笑顔で立っている 満/州は、ニホンの笑顔を見た途端、彼にしがみつき、泣き出した。 ニホンは驚き、満/州を抱きしめて部屋に入り、頭をなでながら聞く。 「どうした?満/州。何かあったのか?」 「ろ、露が…。露とシ青が…」 声が詰まって、言葉にならない。 ニホンは血相を変えて満/州の両肩を掴んだ。 「奴らに何かされたのか!」 満/州は黙って、ただ首を振る。 「ううん、大丈夫。さ、されそうにはなったけど…、無事だった」 ニホンは満/州を再び強く抱きしめた。 「すまなかった。お前を一人にしておいた俺がいけなかった」 「露もシ青も嫌だ…。怖いよ…」 ニホンは先程の米の言葉を思い出した。 露とシ青と米が舌なめずりをして、満/州と自分を狙っている。 力が欲しい、とニホンは思った。誰にも負けない、強い力が。 そして遼東のことを思い出した。満/州だけは、遼東のようにさせたくはない。 197 名前: 7/7 04/09/29 13:51:02 ID:7as/GLuD 満/州がニホンの胸にしがみつきながら言った。 「ねえ、ニホン。僕をここまでしてくれたのはあなたなんだ。 僕はそれに報いるために、頑張って、鉄道で石炭運んだり町を作ったりして、 あなたが強くなるお手伝いをするよ。だから…、僕を守ってください」 ニホンは満/州の目尻にキスし、優しく口づけた。 「大丈夫だ、満/州。必ずお前を守ってやる。 いつかお前を、独り立ちさせてやる。『満/州』という家を建ててやるからな」 ニホンはそう口にしながら、なぜか、その言葉とは裏腹に、彼の細い体が いつか消えてしまう錯覚にとらわれた。 彼はその錯覚が現実にならないように、満/州の体を、いよいよ強く、しっかりと抱きしめた。 ***** すいません分割ミスでしたorz |