163 名前: 1 04/11/14 21:40:04 ID:cvwhVW7M

もう日も変わってしまった深夜、ホテルの長い廊下を長身の逞しい男が
足早に歩いていた。
「やれやれやっと終わった」
男はそうひとりごちるとある部屋の前で立ち止まり、コンコンコンと軽い音を
響かせドアをノックする。
耳を澄ますと部屋の主がパタパタという音を立てドアに近付いて来るのが
わかった。
ガチャリとドアを開け顔を覗かせたのはニホン。
「やあ、遅くなったな」男は笑顔で言った。「米…」
少し驚いたような複雑な表情をしてニホンは男の名前を口にした。
「入れてくれないのか?」
その言葉にニホンは慌てて米を部屋に招き入れた。


164 名前: 2 04/11/14 21:41:06 ID:cvwhVW7M

部屋に入るなり米はソファーに腰を下ろしテーブルに足を乗せネクタイを緩めた。
あまり行儀がいいとは言えないがニホンと一緒にいると敵の多い米も
何故かくつろいだ気持ちになれるのだ。
「まいったよ。家族会議が思った以上に長引いてしまってね」
そう言いながら米はニホンに視線を向けた。
「…どうしたニホン?」
米は視線の先のニホンを見るや怪訝な顔をして言った。
どうしたのだろうかニホンは椅子に座りもせずつっ立っている。
少し放心しているように見えるのは気のせいだろうか。
「おい!」
米は少し語気を強めて呼び掛けた。


165 名前: 3 04/11/14 21:42:19 ID:cvwhVW7M

ニホンはハッとして米を見た。
「あ…ゴメン。
折角来てくれたのにお茶も出さないで。すぐ入れるから」

「いや…お茶はいい。
アルコールはあるか?」
「うん」
返事するとニホンは酒を取り行くためクルリと背を向けた。


グラスの中の酒を飲み干しながら米は向かいのソファーに座っているニホンを
見つめる。
シャワーでも浴びたのだろう、ニホンはバスローブを着ていた。
が、髪はすでに完全に乾いていてシャワーを浴びてから大分時間が経って
いるのが分かる。

遅くなったことに腹を立てているのかと思ったが…何か違うな。


166 名前: 4 04/11/14 21:43:41 ID:cvwhVW7M

ニホンは膝に手を置き少し俯いていたがその表情は怒りではなく、何か
考え込んでいるように見える。
米はグラスをテーブルに置くと無言で立ち上がり、そのままニホンの前に
歩み寄る。が、ニホンが顔を上げる気配はない。
と、突然手を握られ我に返ったニホンは次の瞬間米の顔が目の前にあった
ことにギクリとした。
膝を折って下からニホンの顔を覗き込んでいるのだ。
ニホンは慌てた。米が膝を折るなんて信じられない。
「や…やめてよそんな格好!」
ニホンは懇願混じりに小さく叫んだ。
しかし米はまったく動じない。
「私がやりたくてやっているんだ」


167 名前: 5 04/11/14 21:44:46 ID:cvwhVW7M

米はニホンを見つめた。
「一体どうしたっていうんだ?ん?」
米の行動にやっとニホンは口を開いた。
「…君はチュウゴ君のところに行くのかと思った…」
「何?」
ニホンの意外な言葉に米は少なからず驚いた。
「私がお前を捨ててチュウゴをとるということか?」
「…」ニホンは答えない。
米は立ち上がるとニホンの隣に腰掛けた。
「何でそんな風に考えたんだ」
「だって…」
口籠もるニホンを見た米はフーッとため息をつくと逞しい腕でニホンの躰を
持ち上げた。
「あ…!」
ニホンは米の膝に横向き乗せられた。
米はニホンの頬を撫でながら言う。


168 名前: 6 04/11/14 21:45:44 ID:cvwhVW7M

「馬鹿だな。私がお前を捨てるはずないだろう?」
「…君を失うかもしれないと考えたら恐くて恐くて堪らなくなって…。
でも君は来てくれた。
そしたらホッとして、なんだか力が抜けちゃったんだ」

それを聞いた米はフッと微笑んだ。
「お前は魅力的だよ。お前が自分で思ってるよりずっとな」
米は言い聞かせるようにそう言うとニホンの可憐な唇を自分の唇で塞いだ。
「ん…」
舌でニホンの口内を味わいながら米は思う。
確かにチュウゴは最近どんどん美しくなっている。
あの躰、是非一度味わってみたいものだ。


169 名前: 7 04/11/14 21:46:36 ID:cvwhVW7M

それにチュウゴは今でこそ忌々しい思想に毒されているが基本的な
考え方はニホンより私に近いように見える。
が、油断のならない相手だ。その機会の見極めは慎重にいかねばな…。
口付けしながら米の手がバスローブの裾を割りニホンの腿を撫で擦る。
「んぅっ…」
ニホンの躰はブルッと震えその髪からシャンプーの匂が漂い米の鼻をくすぐる。
米はニホンから体を離した。
「シャワーを浴びて来るから先にベッドで待っててくれ」
「…僕も入る」
「だってお前はもうシャワーを浴びたんだろう?」
「君がお風呂に入るならボクも入る」


170 名前: 8 04/11/14 21:47:33 ID:cvwhVW7M

…つまり一緒に風呂に入りたいということか?
なら素直にそう言えばいいものを。
そう思いながら米は優しく笑い言った。
「そうだな。じゃあ一緒に入るか」
ニホンは恥ずかしそうに頷いた。
いつのまにかニホンは片時も私と離れられない躰になったようだ。
ニホンを膝から下ろし立たせると米はバスルームに連れて行く。
「それじゃあれをやって欲しいな。お前の家に伝わるAWAHIMEという
やつを」
「君の体を洗うの?三助って言うんだよ〜。もう!」
バスルームに入ると米は背後からニホンのバスローブの襟を広げ首筋に舌を這わせ
手で胸をまさぐった。


171 名前: 9 04/11/14 21:48:43 ID:cvwhVW7M

「あっ…!」
徐々に赤みを帯びてゆく滑らかな肌の感触を楽しみながら米は、ふと、
離れられないのは私の方かもな、と思う。
…まあいいさ、もうしばらくはこの関係を楽しもう。
米は後ろ手にバスルームのドアを閉めた。




オワリ(゚∀゚)