633 名前: 620 04/12/04 01:39:25 ID:9pVutbT9

あれから頭を冷やし反省しますた。カッカしすぎでした。
というわけで自戒を込め今ちょこっと書いてみた。
萌えの神様が一杯このスレに来てくれますように。パンパン(拍手二つでいいんだっけ?)


「……何故だ、イタリア」
 向けられた銃口を日本は凝視している。
 イタリアは軽く肩をすくめた。
「情勢が変わってしまってね、悪く思わないでくれよ?」
 ドイツは満身創痍だ。この戦い、この局面で寝返るということ。その意味。
「向こうもね、死に物狂いなのさ。高く売れるうちに売っておかないとね? 
分かるだろ? アメリカには僕の血筋に連なる身内がいたのも幸いだった」
 膝が笑う日本を見てイタリアは眉を顰めた。
「辛いだろうね。ドイツを選んでからというもの、君も心の休まる時がなかった。
どんな終わりであれ、物事が終わるというのはよいことだよ。終わらなければ、
新たに始まることができないものね」
「俺たちを裏切って始まる歴史か。さぞ希望に満ちたものになるんだろうな」
「日本」
 イタリアは苦笑した。
 戦場の只中、砂漠で湯を沸かしてパスタを食らう男だ。何よりも大事な水を
簡単に浪費してドイツに助けを求めた。ドイツは事情を知って激怒した。
それでも水を分けてやった。仲間とはそういうものだ。
「……君には君の信念があるんだろうさ。だが僕にも一応信念というやつがある」
 優男の目が一瞬だけ凄みを帯びた。空ろな闇が口を開けているような気がした。
「女を愛すること。食を楽しむこと。人生を謳歌すること。……生き残ること」
 銃口が日本の頤(おとがい)に触れた。銃口に促され日本はのろのろと顔を上げた。
「君達と命運を共にした家長はいなくなった。今の家長は君達と共にあることを拒絶した。
僕の屋敷も半分はドイツに取られて、そちらの人間は今もドイツと共に戦っているよ」


634 名前: 風と木の名無しさん 04/12/04 01:39:53 ID:9pVutbT9

 イタリアは大仰にため息を付く。
「かくも忌まわしきは運命(さだめ)なり、ってことさ」
 銃口を向けたままゆっくり日本に口付ける。舌を差し込むとわずかに日本が身動きした。
思う存分貪り開放しても日本はイタリアを凝視したままだった。目さえ瞑らなかったのだ。
 耳元で囁く。
「あの男、最初は君を内心役に立つ黄色い猿ぐらいにしか思っていなかったのにね。
知ってるかい? 君がシンガポールを手中にした時、奴は何ていったと思う? 
なのに時が立つほど君にのめりこんで、今は……。ねえ日本?」
 銃が懐に収められても日本は動こうとしなかった。
「戦いに負けると惨めなものさ。……君はまだ負けたことがなかったんだっけね。
その恥辱に君は絶えることができるのかな」
「――裏切ったお前が言うセリフじゃない」
 日本がぽつりと言った。
 イタリアは苦く笑う。
「……そうだったね」
 座り込む日本をそのままに立ち上がった。
「じゃあね、日本。次に会う時はお互いどうなってるか分からないけど」
 イタリアは軽く微笑み、後ろ手を振りながら歩み去った。

 ドイツが逝き、日本がアメリカの手に落ちた、わずかばかり前の出来事だった。