920 名前: 1/2 04/12/15 22:18:51 ID:wCCJ5qCX

何を考えてるかわからないニポンと欲望に正直な※…というイメージ。
具体的に誰とかいつを意識したものではありませんのであしからず。



「ニポンはいつもポーカーフェイスで得体が知れないとみんな言っているぜ。」
ソファにだらしなく寛ぐ※を見ながらニポンはフン、と軽く鼻を鳴らした。
「みんなだけじゃなくて君も言ってるんだろう?」
静かなのは言葉ばかりで目線には挑発するような光が滲んでいたが※の上機嫌は変わらない。
身の程を知っている者の威嚇など、情事を楽しむ上でのスパイスに過ぎない。
タイを緩める暇も与えずに引き寄せると案の定、ニポンはあっさりと腕の中に納まった。
「そう絡むなよ。まあ、確かに理解できないとも思うがな。
あいつらは拳で話をつけないとわからないって知ってるだろう?
外野が何を言おうがそいつらが助けてくれるわけじゃねぇ。何故ガツンとやっちまわないんだ。
まさか、最近増やしたゆとりとやらでそれもわからないくらいお頭が緩んでるんじゃないだろうな。」
「……君は、そうなった方が都合がいいんじゃないのか?」
「絡むな、と言っているだろう。」
言い負かされたわけでもないが、淡々と言葉を紡ぐニポンに妙にそそられて言い合いをする気が削がれた。
組み敷いたニポンの薄い唇を無理に重ねその吐息すら奪うように舌を絡ませる。
シャツの下に忍ばせた掌はニポンの肌に刻まれた幾つもの傷跡に触れてやはり複雑な気分になる。
一際大きな二つの弾傷、それは※が刻み付けた物だ。
それほどに深く残したというのにニポンはまるで何事もなかったかのように振舞う。
それが※には不可解でならなかった。


921 名前: 2/2 04/12/15 22:22:43 ID:wCCJ5qCX

「庭作りのコツは『育てる』という事だよ。」
先ほど散々鳴いて喘いだのを忘れたかのようにニポンは高い天井を見ながら呟いた。
「草木と言うのはデリケートなんだ。土や水、日の当たり方さえも変われば萎れる。
君のように欲しいからと言ってあちらこちらから抜いて来て自分の庭に植えても駄目なんだよ。」
単に庭弄りの話でない事はすぐにわかる。癖の無い黒の髪を一筋弄りながらほうと相槌を打った。
「だが、その丹精込めた庭が荒らされたら?そのコツも知らない奴が勝手に引き抜いて行ったら?
さすがのお前でも怒るだろう。場合によっては力づくで引き抜いて来るんだろう?」
ニポンは表情を少しも変えずに形の良い眉だけをピクリと動かした。
「まさかそんな事はしないよ。」
「お前、それじゃあ人が好いを通り越して馬鹿だぞ。」
「誰も放って置くなんて言ってない。こんな時のために君という頼もしい友人と付き合ってるんだ。」
なあ、と妙に艶かしい声色で念を押されて正直な下半身に熱が集まるのを感じる。
「俺を利用する気か?」
「まさか、大事な友人を利用するつもりなんてないよ。頼りにはしているけどね。」
「同じことじゃねぇか。」
「そんなことは無いよ。解釈の違い……いや、国民性の違いかな。」
喰えない奴だ、と心の中で呟きながらシーツを引き剥がして四つ這いにさせる。
※はなぜ皆がニポンを訝しがるのか少しだけわかった気がした。
感情が無いはずなどもちろん無く、単に隠しているだけだ。
それがあまりに巧すぎるから一様に違和感を与える。
しかし、それでも尚付き合う人間は※自身も含めて少なくは無い。
なぜなら繰り返し傷つけても抱いても知る事のできないニポンの柔らかい心の内はひどく魅力的に見えるのだ。
(俺は、こいつに溺れ掛けているのか?)
そんな事を自問して※はすぐに大声で笑い飛ばした。
ニポンは身体の下でまた笑っているような困っているような複雑な表情をしていた。